50代定年前後、国も会社も教えてくれない5つのお金ルール
「企業年金・401k」ガイド
:山崎 俊輔
定年退職は遠いようであっという間にやってきます。しっかり用意をしておかないと、仕事や家族との時間に追われるまま老後の備えを十分にできず60歳がやってきます。
ここでは定年前後のお金のルールを5つご紹介したいと思います。「定年前」にやっておきたいお金の課題と、「定年後」に考えるべきお金の課題、どちらも紹介していくので参考にしてみてください。
■ ルール1:貯め時は60歳まで
最初のルールは「お金が貯めやすい時期は定年まで」です。
50代は住宅ローンや子どもの教育費に追われる日々で、「お金を貯められるはずがない」と誰もが思っています。
しかし、実は60歳を過ぎるともっとお金は貯めにくくなります。60歳からの継続雇用では年収が下がるケースがほとんどで、貯金をする余裕はありません。
65歳以降の年金生活に入ってからも、日常の生活費にそのまま年金が消えていくため、やはり貯金をする余裕がないのです。
苦しくても、今貯めておかないと60歳以降はもっと苦しくなります。
老後資金をいつ貯めるか?と聞かれたら、即答で「今でしょ!」と応えなければいけないのです。
50代をぐっと我慢して貯めたお金は60歳以降に使えるので、我慢した分の元は取れます。
お金を貯めるラストチャンス「60歳まで」の時間を大事に使ってください。
■ ルール2:定年直前に倹約生活をスタート
「倹約なんて年金生活に入ってから考えればいいよ」という人がいますが、これも定年前後のお金のルールからすればNGです。
むしろ倹約生活を今のうちから心がけておくほうがいいのです。
最後の貯めどきである50代に貯金をしたいと思えば、家計を絞らなくてはいけません。今こそムダな出費を切り詰め、貯金をするための原資確保を図らなくてはいけないのです。
また、現役のうちから家計の倹約を意識しておくと、60歳以降の家計管理にも役立ちます。放漫財政を60歳でいきなり切り詰めるのは、なかなか大変です。現役時代のうちから倹約生活を心がけておけば、定年後生活へのソフトランディングが成功するのです。
■ ルール3:再雇用で働けるだけ働く
2013年4月以降に60歳になる人は、年金受け取り開始年齢が61歳以降になります。
最終的には65歳まで年金ゼロということになります。これに合わせ、企業には65歳まで働き続ける環境の整備が義務付けられ、少なくとも再雇用制度で65歳まで雇用しなければなりません。
しかし、再雇用制度は賃金も下がれば、仕事の内容もややつまらなくなることが多いよう。しかし、可能な限りこうした制度はフル活用して65歳まで働くべきです。
65歳まで働けるということは、60歳から65歳までの無年金期間、つまり空白の5年間は収入が得られるということです。この5年間をどう切り抜けるかが、80歳ないし90歳まで長生きする老後の家計を大きく左右します。
最後の5年、もうひとがんばりしてみてください。
次は、残り2つのルールです。こんなことをしていると、退職金が枯渇することも……。
■ ルール4:65歳までは退職金に手をつけない
60歳でもらうことが多い退職金ですが、再雇用時の5年間の収入が少ないからと、これを取り崩す人がいます。
しかし、あまりうまいやり方ではありません。
実は65歳時点での平均余命は男性でも約19年、女性だと約24年にもなります。これだけ長い時間に対する貴重な財産が退職金なのです。
65歳までの5年間で退職金を使い切ってしまえば、長い老後のための貴重な蓄えは枯渇してしまうことになります。
セカンドライフは基本的に借金ができません。特に病気や介護の折には、保険を使ってもなお自己資金を多く求められます。大事な退職金を65歳までいかに守れるかが、老後の豊かさの違いを生むことになるのです。
■ ルール5:65歳からは「ある範囲」で使う
65歳になり、国の年金もちゃんともらえるようになってからも油断は禁物です。
セカンドライフでは、「年金収入=日常生活費」というバランス感覚を身につけることが必要です。
趣味、余暇に老後資金を取り崩すことはかまいませんが、無理のない範囲で計画的に取り崩すことが大切です。
原則として日々のやりくりは、公的年金だけでまかないたいところです。
今ある年金の受給権、今ある財産が老後の幸せを実現するすべてです。その範囲内で幸せを追求していくことが大切です。あまりお金がかからない趣味もたくさんあります。大切な財産を有意義に使って、老後を楽しい時間としたいものです。
■ 楽しいセカンドライフのために「定年前後」を意識
定年になる前にできること、定年から65歳までの間にできることをしっかり行えば、老後の生活はぐっと安定します。
一つでもルールを実行して、自分の老後をさらに豊かなものとできるようチャレンジしてみてください。
http://docomo.allabout.co.jp/column/CL01624/index.html