体に良いとわかっていても毎朝となると、なかなか面倒な「味噌汁」を手軽に作る方法
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日経ウーマン
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20091002/104320
みそ汁を見直そう
2009年10月9日
朝ごはんの話題といえば、少し前までは「パンか、ごはんか」くらいしかなかった。けれど、最近はちょっと違う。「早寝早起き朝ごはん」なんてキャンペーンがあるかと思えば、「飽食の時代、朝は抜いたほうが健康にいい」という説が出てきたり。いったいどっちが正解なの?と戸惑ってしまう人もいるだろう。
こういうときは、自分に都合の良い方をとりたくなるのが人の常。ちゃんと食べなきゃダメ、と説教されるよりは、“朝食抜きのススメ”のほうが新鮮で飛びつきたくなるし、同じことをしていても「眠い&忙しいから朝は食べない(ちょっと罪悪感)」から「朝はプチ断食(満足感)」に変わるのは、ちょっと嬉しい。断食系が人気を誇るのは、案外そんな理由かもしれない。でも、くれぐれも「自分の体」に聞くことは忘れずに。(参考記事:
「自分の体に教えてもらう」が基本 )
個人的なことをいえば、私は朝食はちゃんと食べる。なぜかというと、起きるとおなかが空いているから。つまり、かなり生理的な欲求で食べている。まあ、これも体の声を聞くことのひとつには違いない(と思う)。
では、朝食にふさわしいのはどんな食べものなのか?中医学的には、起きたばかりの胃に負担をかけない「消化がよく、温かいもの」ということになる。胃だって、朝いきなり冷や水を浴びせられたり、ハードワークを強いられるのはうれしくない。中華系の人が朝食に粥を好むのは、そういう理由があるから。
日本にも朝粥文化はあるのだが、お粥が好きな人というのは案外少ないような気がする。ちょっと周りにリサーチしたところ、「飽きる」「旅館で食べるものでしょ」「炊くのに時間がかかる」「病人食みたい」など、散々だ。中華粥ならOKという人もいたが、それこそ自分で朝から作るシロモノではないだろう。
だったら、ごはん+みそ汁という正統派の朝食はどうだろう?ごはんは炊飯器が炊いてくれるし、まとめて冷凍しておく手もある。そしてみそ汁は、世界中どこを探したって、こんなに手軽な汁ものはないと思う。
前回紹介した鶏のスープ をはじめ、肉をだしに使う汁ものは、最低1時間は煮込まないと旨みが出ないが、みそ汁なら10分もあればできてしまう。けれど、これは決して手抜き料理などではない。そもそも、かつお節や昆布、煮干し、そして調味料の味噌に、乾燥や発酵といった手間ひまがたっぷりとかけられているのだから。この知恵の結晶を、日々の食卓に活かさない手はない。
もしかすると日本人は、不足しがちな栄養をたっぷり含んだだしを、みそ汁として毎日飲むことで、健康を守ってきたのかも知れない。こういう言い方は不味そうだからあまりしたくないけれど、だしとはつまり、かつお節や煮干し、昆布などの栄養分を抽出した「煎じ薬」なのだと思う。
ついでに、それぞれの中医学的な作用を簡単に紹介しておこう。青魚である煮干しとかつお節には、血を増やしたり、めぐりをよくする働きがある。昆布は、体のよぶんな水分をとりのぞく「利水作用」のほか、様々な“かたまり”を柔らかくする「消腫作用」もあるといわれる。ちょっとイメージしにくいかもしれないけれど、「よけいなものを出す」作用と、「必要なものを補う」作用のバランスがとれていることはなんとなく分かるはず。
「みそ汁は分かった。でもいちいちだしをとるのはやっぱり面倒!」という人は、週末にまとめて作ってしまおう。寝る前に、ひとつかみの煮干しとかつお節の厚削り、名刺大くらいの昆布を3カップほどの水に浸しておく。翌朝、本でも読みながら、40~50分ほど火にかけ、でき上がったら冷まして冷蔵庫に。平日の朝のみそ汁は、このだしストックを適宜薄めて、具と味噌を加えるだけ。これなら、インスタントと同じくらいカンタンだ。
ポイントは、新鮮な煮干しを使うことと、花がつおではなく厚削り節を使うこと(長時間火にかけるため)、そして、必ず弱火にしてぐらぐら沸騰させないこと。これだけ守れば、変な臭みや苦味が出ることはない。
ちなみに、この旨みたっぷりのだしストックは、万能調味料でもある。煮物や和え物、炒め物など、なんとなく味が足りないな、と思うときに、ちょっと加えるだけで味に深みが出る。いろいろな料理に使うと3日も持たないと思うけれど、それはそれ。もう一度ストックを作ってもいいし、それが面倒なら、週の後半はインスタントのだしを使ったっていい。あまり気合いを入れ過ぎると長続きしないし、よけいなストレスを抱えることにもなる。
実は、ストレスをためずに日々の料理を作る&食べることは、何を食べるかよりも大切なこと。次回は、このストレスと食の関係について紹介したいと思う。