セウォル号事故のどさくさに紛れて…領海を侵犯して事故現場近海で堂々と不法操業を続ける中国漁船団
2014.05.11
画像はイメージです。
「許可表示が偽造なのは明らかなのに、取り締まりようがない」
8日午前10時ごろ、全羅南道新安郡黒山島の北西沖65キロの西海(黄海)海上では、群山海洋警察署の巡視船の前方3キロに中国の刺し網漁船団30-40隻が霧にかすんで見えた。
漁船の操舵(そうだ)室の後方には中国の国旗・五星紅旗がはためいている。
巡視船の船長が双眼鏡で操舵室の脇を観察すると、縦50センチ、横150センチの操業許可表示が見えたが、偽造の可能性が高かった。
中国漁船が韓国の排他的経済水域(EEZ)で操業するためには、韓国の海洋水産部(省に相当)が発行する事前漁業許可証が必要だが、最近は偽の許可証を掲げるケースが増えている。
これは明らかに取り締まりの対象となる。
しかし、巡視船は動きが取れなかった。
この海域の漁船取り締まりは木浦海洋警察署が担当しているが、先月16日に起きた旅客船「セウォル号」沈没事故で、同署の警備艇20隻が全て事故現場に投入されているためだ。
群山海洋警察署が待機しているほかない。
関係者は「取り締まり業務はセウォル号事故で中断された。取り締まり船を下ろし、積極的に中国漁船の検問を行う余力は事実上ない」 と説明した。
セウォル号事故のどさくさに紛れて、西海の漁場は中国漁船に占領されてしまった。
一部の漁船は昼夜を問わず領海を侵犯し、操業を続けている。
それでも海洋警察による取り締まりは及ばない。
西海地方海洋警察庁は、平沢、泰安、保寧、群山、木浦、莞島などの沖合で中国漁船の取り締まりを行ってきた。
同庁所属の警備艇79隻は通常、3交代で取り締まりを行っている。
しかし、セウォル号事故で79隻のうち44隻が事故海域に投入された。
残る35隻では広い海域をカバーし、交代制で中国漁船の取り締まりを行うことは不可能だ。
このため、海上で領海を守る程度の役割しか果たせない。
木浦海洋警察署所属の警備艇は全て事故海域に動員された。
西海での中国漁船の取り締まりは、先月16日から事実上中断している。
西海地方海洋警察庁は先月15日から2泊3日の日程で中国漁船の特別取り締まりを実施したが、セウォル号事故を受け、1日で中断した。
4月16日から5月8日までの間、木浦海洋警察署による中国の違法操業漁船摘発件数はゼロだ。2012年の同じ時期には28隻が拿捕された。
全国の海洋警察から人員や装備がセウォル号の事故海域に投入されており、他地域の海洋警察も正常な業務を行う体制は整っていない。
このため、仁川海洋警察署が管轄する延坪島、ペンニョン島は最近、海洋警察がいない「無風地帯」と化した。
ワタリガニ漁のシーズンを迎え、中国漁船100隻余りが堂々と違法操業している。
領海侵犯の取り締まり実績もゼロだ。毎年今ごろには、領海侵犯で木浦海洋警察署に拿捕される中国漁船が平均5-6隻ある。
木浦港所属の漁船船長、キム・ワンホさん(67)は「中国の船数百隻が黒山島周辺を行き交っている。引き揚げる直前に領海まで侵犯するが、海洋警察の警備艇の姿は全く見えない」と話した。
韓中漁業協定に基づき、韓国のEEZで操業が認められる中国の漁船は毎年1600隻。そのうち、毎年この時期には500隻程度が韓国の海域に入って操業をしてきた。
しかし、今年は西海のEEZに出入りする中国漁船が800隻以上に達した。海洋警察は「増えた300隻近くの大半は無許可の違法操業船と推定している」と説明した。
海洋警察や漁民らによると、通常は秋にイシモチの漁場に中国船が最も多く出現するが、最近は海洋警察の取り締まりが中断したため、大型の網で海底をさらっていく底引き網漁でマダイ、マナガツオ、ワタリガニなどが根こそぎ取られている。
中国の底引き網漁船による操業は禁止されている。固定網による刺し網漁船だけが来月1日まで操業可能だ。刺し網漁船も規格より針の間隔が狭い網を使用し、サワラやクロソイなどを乱獲している。
韓国の刺し網漁船は4月20日から8月10日まで操業が禁止されている。キムさんは「韓国の海産物が中国漁船に奪われているのをただ見ているだけしかない。われわれは手足を縛られているのに、中国漁船だけが堂々と漁を行い、魚が枯渇しないかと心配だ」と語った。
木浦水協(漁協)は「委託販売場に持ち込まれる水産物は昨年1-4月は826億ウォン(約82億円)相当だったが、今年は中国漁船の乱獲で370億ウォン(約37億円)にとどまっている」と説明した。韓国の漁民が漁獲すべき分を中国漁船に奪われている格好だ。
海洋警察はこうした事実を知りながらも、取り締まりに乗り出せずにいる。セウォル号沈没事故による行方不明者の遺体が流失するのを防ぐため、二重、三重に警備艇が沈没現場周辺を取り囲んでいるためだ。
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