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Channel: おばさん道一直線
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水泳から見たフィリピン

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フィリピン在住日本人の方の水泳についてです。

画像は、イメージです。インターネットで集めました。

↓↓↓

水泳から見たフィリピン

私は去年の年末まで、セブの隣の島、ネグロス島のドゥマゲッティというところで水泳を青年海外協力隊員として指導していた。

対象はもちろんフィリピン人だった。


今回はそのような経験からフィリピンの水泳事情について書いてみようと思う。


2002年のアテネオリンピック、フィリピン代表団は12人だった。

その中で水泳選手は5名。

割合でみると水泳選手が一番多い。

と言うことはフィリピンは結構水泳が強いのではないかと考えられる。

しかしその5人の内訳をみてみると、4人は外国(アメリカ、オーストラリア)で練習をしている選手達である。

つまりフィリピンで練習をつんでオリンピックに出場した選手はただ1人なのである。

ちなみに日本はご存知の通りアメリカ、オーストラリアに次ぐ3位争いをしている水泳大国である。


フィリピンでは水泳はあまり盛んではない。

東南アジア大会でも毎年3位4位である。

分かり易い例を出すと、フィリピンの1番と静岡県中学大会の1番が良い勝負だ。


それではなぜ水泳が盛んではないのかを考えてみよう。

日本には学校に水泳プールがあるところが多い。

しかしフィリピンはどうだろう?

セブにはアビリアナとサンカルロスのメインキャンパスにしか無い。

(ホテルのプールは除く)

したがって学校で水泳の授業もほとんど無い。

フィリピン人と海へ遊びに行き、泳げないフィリピン人に驚かれた方も多いのではないだろうか。

日本と異なり水泳の授業が行われていないので、一般的に泳げないのである。

フィリピンに対して日本人に比べ

「根性がない」

「負けず嫌いでない」

など根性論がよく挙げられるが水泳に関して言えば、

その前に「環境が無い」のだ。


問題は2つある、水温と水質だ。

少し専門的な話になるが、フィリピンのプールの水温は平均して30~33度くらいである。

日本の公共プールの水温は29度~31度である。

試合の時には24~28度までと規則で決まっている。

大した差はないようだが、実はこの差はとても大きい。

結論を言えば32度以上では練習にならない。

これは根性だけではどうしようも無い問題なのだ。


つぎに水質の問題がある。

とにかく汚い。

ドゥマゲッティのプールは下の線が見えないほど濁っていた。

これも困った問題だった。

なぜかというと、下の線が見えないので自分がまっすぐ進んでいるのか、後どれくらいでターンなのかが分からない。

これでは練習にならない。

このようなことから、私はよく海で練習をさせていた。

海のほうが水温も安定していて視界もはっきりしているので生徒達も喜んで練習に参加していた。


また大会制度の不充実ぶりが水泳の発展を妨げている。


日本の場合は日本選手権、日本短水路選手権、インターハイ、インターカレッジ、国体、ジュニアオリンピックなど全国規模の大会が数多くある。


フィリピンの場合は大きな大会は2つ、1つはパラロ。

もう一つはバタンピノイである。

パラロは小学生、中学生を対象にした全国大会で、州対抗で市大会、州大会を勝ち抜いた選手が出場できる。

バタンピノイはその名の通り、子供(小学生)の大会である。

こちらは毎年年末に開催されるのだが、メディアも大きく取り上げ、上位入賞者には賞金が出る。

それもかなりの額で、1位が5000ペソだったと思う。

子供によっては1人で3,4種目金メダルを取る選手もいるのでこの大会に関しては選手、コーチ、親もものすごく真剣にがんばるのだ。

小学生に賞金をだすというのは、教育上あまり良くない気もするが。


このように主要な大会で子供を対象とした試合しかないのだ。

そうして小学生のときが水泳熱のピークでそこから徐々に大会がなくなっていき、大学生になると水泳をまじめにやるような人はなかなかいない。

小学生だけを比べるとレベル的に日本とほとんど変わらない。

しかしそこから伸びていかない。

フィリピン選手権というのもあり、見に行ったことがあるのだが、観客もほとんどいない。

メディアの取材も無く、参加者も少数と散々な状況だった。

さらに付け加えれば、去年2004年は選挙の年だったので、パラロもバタンピノイも経済難のため開催されなかった。

このようなずさんな大会運営が水泳の発展を妨げているのは明らかだ。


さらに試合があまり行われないので、他の選手と競い合う機会が無くなり、その地区で一番になると大体その地位に満足してしまい、そこから先にはなかなか進めない、

こうやって才能を無駄にする選手をみていくのは辛かった。


いつも全国大会が行われているプールは、60年以上も前に旧日本軍によって建てられたマニラのリサールパークにあるプールである。

今でもこのプールをメインで使用しているとは驚きだ。

ちなみにここのプールでフィリピンナショナルチームが練習しており、そのヘッドコーチをされているのが日本人コーチの石川竜三先生である。

今回の原稿を書くにあたって先生に情報を多々いただいた。


そもそもの問題として毎日満足に食べることもできない子供達が多いフィリピンで水泳、スポーツをさせようというのが酷なのかもしれない。

実際に国際大会にフィリピン代表として出場するような選手はほとんどが裕福な家庭の出身だ。

悲しいが、やはりある程度経済的に豊かでないと、スポーツで活躍するのは難しいようだ。

しかし身体能力としては、日本人と同等かそれ以上である。

素晴らしい素質を持った選手と出会い、指導し、国際大会で日本人と戦える日が来ることを夢見ている。


個人的な意見であるが、フィリピン人にシンクロをやらせれば、世界一に成れる可能性があると思う。

ご存知のとおりフィリピーナのスタイルの良さと表現力の豊かさが十分に生かされる競技だからだ。

残念ながら、今現在は、フィリピンではシンクロは行われていない。


今年の12月にフィリピンでSEA GAME(東南アジア大会)がある、水泳チームはもちろん、フィリピン選手がどれだけ活躍するか楽しみだ。

忠内芳光


http://www.jac.ph/cebu_tuushin/tuushin200509/tuushin200509_20

↑↑↑

やはり…

「毎日満足に食べることもできない子供達が多いフィリピンで水泳、スポーツをさせようというのが酷なのかもしれない。」

と言うのを解決しない限りは、無理でしょう…

悲しいことですが、事実です。

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