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2012/04/20 UPDATE
50代その体調不良、加齢ではなく「うつ」の可能性も
「メンタルヘルス」ガイド
:中嶋 泰憲
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やはり50にもなれば、心身に様々な不調があらわれてくるもの。往々にして年齢のせいにされてしまいがちですが、実は脳内環境の悪化が原因のことも少なくありません。
ここでは、50代で気をつけたい、心の病気について詳しく解説します。
脳内環境が不調の原因
心の病気に気をつけるには、まずその症状をよく知っておきたいもの。以下の不調を50の坂を越してから感じたことはありませんか?
1.気持ちが冴えない
2.イライラが強く、物事に集中できない
3.疲れやすい
こうした不調は50代に限らず、日常的によくあること。一方、年齢のせいにされやすい不調としては、以下のようなものが挙げられます。
1.肩凝りがひどい
2.頭の回転が遅くなった
3.性欲がない
4.涙もろくなった
5.悪い病気にかかっていないか、とても不安
6.周りの人から意地悪をされている気がする
実は脳内環境が悪化すれば、こうした様々な不調が生じる可能性があります。
50代以降は「うつ病」の好発期
うつ病は50代以降、特に気をつけたい心の病気ですが誤解されやすい面もあります。
たとえば、「うつ病は心の弱い人の病気。自分には関係ない」はNGです。うつ病は誰にでも発症リスクがあり、実は50代以降がその好発期。発症率は10~20%です。
うつ病では脳内環境が病的になったため、脳の働きがスローになり「頭の回転が遅くなった」「物忘れが多い」など、年齢のせいにされやすい症状も出現します。
また、意欲や興味が減退した結果、性欲低下などもあらわれやすいのです。さらに50代以降のうつ病の特徴として、他の年代と比べると関節痛など身体的愁訴が多くなる傾向があります。
うつ以外の病気にも要注意! 脳腫瘍、アルツハイマー病で精神的症状が出ることも。詳細は次のページで。
器質性疾患にも注意!
もっとも脳内環境の悪化が心の病気レベルまで達しない通常の不調ならば、ストレス発散法を工夫することで対処できます。たとえば、「毎日、顔を会わす義理の○○には本当に腹が立つ!」といった場合。お気に入りのストレス発散法を試してみてください。
たとえば、コンサートに行って思い切り笑い、ついでに一緒に行った仲間に愚痴もこぼしておけば十分でしょう。ただ、脳内環境の悪化が場合によって、心の病気ではなく脳内の器質的問題で生じることもあります。
たとえば脳腫瘍、アルツハイマー病といった、脳内の器質性疾患の前駆症状として「急に怒りっぽくなった」「気分が高揚している」などの精神症状が出現するケースがあります。
症状が長引く場合は病院で受診を
実は日常的な不調と心の病気の境界は、なかなか明確に区切りがたいもの。その区別は一般に症状の程度、持続期間がポイントとなります。
もしも2週間以上不調が持続している場合、たとえば、「自責の念が強く、今まで楽しんでいたことを楽しめない。前途に展望がなくなった」といった場合、脳内環境の悪化がうつ病のレベルまで達している可能性があります。精神科受診も考慮してください。
緊急事態として、死にたい気持ちが生じているときは要注意! うつ病が重症化している可能性があり、ただちに精神科(神経科)受診が望ましいです。
なお、これまで挙げたような不調で医療機関を初めて受診される際、心の病気以外にも器質性疾患の可能性もあります。なるべく多くの診療科が揃った大学病院や総合病院などの精神科を受診されるのがいいかと思います。
http://docomo.allabout.co.jp/column/CL01180/index.html