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2013/11/08 UPDATE
実は大丈夫じゃない! 危険な頭痛「3つ」の見分け方
「脳・神経の病気」ガイド
:菅原 道仁
「頭痛」は私たちにとって一般的な症状であり、約4割の人々が慢性的な頭痛を自覚しています。ほとんどの頭痛は命の危険性がないものですが、なかには危険なものも隠れているので注意しなければなりません。
ここでは、危険な頭痛の見分け方をわかりやすく解説していきましょう。
■ 危険な頭痛「3つ」の特徴
ほとんどの場合、命の危険性はありませんが、以下に挙げた3つの特徴を伴っている際は、すぐにでも脳神経外科、神経内科の受診をおすすめします。
□1.突然の頭痛
私たちは、なんとなく1週間継続する頭痛を訴える患者さんよりも、突然頭痛を自覚した患者さんの方が心配になります。
なぜかというと、危険な頭痛の代表格、クモ膜下出血や脳内出血を強く疑うからです。血管が突然破れるので、瞬間的に強く痛むのが特徴です。突然の頭痛を自覚した場合は医療機関を受診してください。
□2.今まで感じたことのない頭痛
いわゆる頭痛持ちの人は同様の場所が痛んだり、頭痛を起こすきっかけが似ています。しかし、危険な頭痛は今までと痛む場所が違ったり、いつも使っている薬が効かなかったりするもの。
様子を見ていても、だんだんと悪化していきます。特に、出血や脳腫瘍により頭のなかの圧力(頭蓋内圧)が高くなってしまう場合は、朝方に頭痛を自覚するといわれています。
□3.頭痛以外の症状を伴う場合
一般的な頭痛である片頭痛や緊張型頭痛でも吐き気や嘔吐などの頭痛以外の症状を伴うこともありますが、危険な頭痛は頭痛以外の症状を伴うことがほとんどです。
危険な頭痛に伴いやすい症状は、
・意識が朦朧とする
・発熱
・けいれん
・手足が動かない
・めまい、嘔吐
などがあります。
次は、危険な頭痛を伴う病気について。
それは「突然」やってきます……
■ 危険な頭痛を伴う代表的な病気
□クモ膜下出血
危険な頭痛の代表格であるクモ膜下出血。「突然」「今までに自覚したことがない」といった頭痛が特徴です。クモ膜下出血の原因の80%以上が、脳動脈瘤という脳血管のコブが破裂することです。
脳動脈瘤がない人は、クモ膜下出血を引き起こす確率はきわめて低く、事前にMRI/Aをつかった脳ドックを受診し、自分の脳血管をチェックすることは極めて大切なこと。破裂前に動脈瘤が見つかっても、破裂する前に手術すれば予防できることがあります。
□脳内出血
高血圧を放置しておくと細い脳血管が破れて、脳内に出血することがあります。大脳に脳内出血を引き起こせば出血した側と反対側の手足の麻痺を伴い、小脳に脳内出血を引き起こせば歩けなくなったり嘔吐を伴ったりします。
少量の脳内出血であれば意識はしっかり保たれて、手術治療をしません。大量の脳内出血の場合は、意識が朦朧として手術治療が必要なことも。
□髄膜炎・脳炎・脳膿瘍
発熱をともなったひどい頭痛は、ウイルス、細菌などが脳内に侵入してしまう病気、髄膜炎・脳炎や脳膿瘍を疑います。多くはウイルス性で、安静と栄養バランスに気をつければ風邪が治るように完治します。
しかし、気をつけなければならないのは単純ヘルペスウイルスの場合。日本では年間100万人に1人程度の割合ですが、重篤な病状になることが多く、抗ウイルス剤を適切に使わなければなりません。
また、細菌性髄膜炎の場合、どこから脳内へ細菌が入り込んだのかをチェックしなければ再発しやすく、副鼻腔炎(蓄膿症)や中耳炎をチェックすることも。
□慢性硬膜下血腫
軽く頭部を打撲した後、1~3ヶ月間かけて徐々に出血がたまって脳を圧迫する病気です。高齢者に多く、若い人ではスノーボードによる頭部打撲後に多い印象があります。
症状は、物忘れ、歩行困難、尿失禁が代表的で、高齢の場合「歳のせい」と勘違いされやすい病気です。慢性硬膜下血腫は、局所麻酔で行う比較的簡単な手術で改善し、入院期間は7日程度ですが、3日で退院することも可能です。
□脳腫瘍
脳のガンを脳腫瘍と呼びます。脳腫瘍が発生した場所によって症状はさまざまですが、頭痛、嘔吐を最初に自覚することが少なくありません。人口10万人に対して10人程度の発生率と言われています。
脳腫瘍の塊を取り除く手術が治療の中心で、必要に応じて薬物治療、放射線治療(ガンマナイフなど)を組み合わせて行います。
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